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戸建リノベーションの費用相場は?予算別にできる工事と抑えるコツを解説

2026.10.13補助金, 基礎知識

戸建リノベーションの費用相場は?予算別にできる工事と抑えるコツを解説

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戸建リノベーションの費用は、水回りなど部分的な改修で350万〜700万円、内装と設備を一新するフルリノベーションで1,000万〜1,500万円、骨組みを残して造り替えるスケルトン改修で1,500万〜2,500万円が目安になります。
金額の幅がここまで開くのは、工事範囲・延床面積・築年数という3つの条件で必要な工事量が変わるためです。
自宅の条件に当てはめて概算をつかんだうえで、予算帯ごとに実現できる工事、費用が膨らむ要因、補助金を含めた負担の下げ方まで順に整理します。

この記事の要約

  • 費用相場は部分改修350万〜700万円、フルリノベ1,000万〜1,500万円、スケルトン1,500万〜2,500万円
  • 30坪のフルリノベーションは1,200万〜2,500万円程度が中心価格帯
  • 断熱・耐震補強を含めると200万〜500万円が上乗せされる
  • 築30年超やなかでも昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けた建物は、補修と耐震補強で費用が上振れしやすい
  • 窓の高断熱化には国の補助金で最大100万円が交付される

目次

戸建リノベーションの費用相場

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戸建リノベーションの総額は、350万円から2,500万円の範囲に収まるケースが大半を占めます。
金額を分ける要因は、工事範囲と延床面積の2つです。

工事範囲費用目安
部分リノベーション(水回り交換+一部内装)部分リノベーション(水回り交換+一部内装)
350万〜700万円
全面リノベーション(内装・設備を一新、間取り変更)1,000万〜1,500万円
スケルトンリノベーション(構造補強・断熱改修含む)1,200万〜2,000万円超

総額は350万円から2,500万円に収まる

戸建リノベーションの総額は、おおむね350万円から2,000万円程度に収まるケースが多く、工事範囲と延床面積によって大きく変動します。
水回りだけを入れ替える部分改修であれば350万〜500万円で収まりますが、内装と設備を全て新しくすると1,000万円台に乗ります。
外装や構造補強まで含めた場合は、2,000万円を超えるケースも珍しくありません。
実際に選ばれることが多いのは1,000万円前後の価格帯で、この金額なら内装と設備を中心とした全面改修が可能になります。

平米単価10万円から22万円が目安になる

平米単価で見ると、おおむね10万円から22万円が相場です。
坪単価に換算すると約33万〜73万円となり、延床面積100平米の家な全面リノベーションで1,000万〜1,500万円、スケルトン改修で2,000万円以上という計算になります。
表面的な内装の張り替えだけなら平米10万円前後に収まる一方、骨組みまで解体する工事では平米20万円を超えていきます。
まずは自宅の延床面積に単価を掛けて、大枠の予算感をつかむところから始まります。

部分改修とフルリノベで費用が3倍違う

同じ家でも、部分改修とフルリノベーションでは費用が3倍前後の差になります。
30坪(約99㎡)の住宅を例にすると、内装中心の部分改修は400万〜750万円、間取り変更を伴うフルリノベーションでは1,200万〜1,800万円程度が目安で、構造補強や断熱改修まで含めるスケルトン工事では2,000万円を超えることもあります。
どこまで手を入れるかの判断が総額を左右します。
「全部きれいにしたい」と漠然と考えるのではなく、直したい箇所を紙に書き出して範囲を確定させることが、予算計画の出発点になるでしょう。

延床面積別の費用目安

延床面積が広くなるほど、解体費・設備費・内装費が比例して増えていきます。
25坪から40坪までの目安を整理しました。

延床面積総額の目安
25坪1,000万〜1,500万円
30坪1,200万〜1,500万円
40坪1,600万〜2,500万円

25坪は1,000万円から1,500万円かかる

25坪(約82㎡)のフルリノベーション費用は、1,000万〜1,500万円が目安です。
コンパクトな面積だからこそ、壁を取り払って開放的なLDKを確保する設計や、可動式の間仕切りを使ったプランが選ばれやすい傾向です。
ただし、水回り設備などの固定費は広さに関わらず発生するため坪単価では割高になりやすく、水回りの移設や耐震補強を加えるとこの範囲を上回っていきます。

30坪は1,200万円から2,500万円が中心

30坪(約100㎡)のフルリノベーション費用は、1,200万〜2,500万円が中心価格帯です。
3LDKを2LDKに変えて広いリビングを確保するようなプランも十分に組めるボリュームで、設備は中級から上級グレードをバランスよく選べます。
一方で床暖房や造作家具を追加すると費用は上振れしますし、築年数が古い建物では配管更新も重なります。

40坪は1,600万円から2,500万円以上

40坪(約132㎡)になると1,600万〜2,500万円以上が目安です。
ただし面積が広い分、部屋数に比例して内装費がかさみ、外壁面積も広くなるため、水回りや屋根・外壁まで含めたフルリノベーションではこの目安をさらに超えることも想定されます。

工事箇所別の費用内訳

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家全体ではなく一部だけを直す場合、箇所ごとの単価を知っておくと予算の組み立てが早くなります。

工事箇所費用目安
キッチン全体交換70万〜200万円
浴室全体交換80万〜200万円
トイレ交換(内装含む)15万〜40万円
洗面台交換+内装20万〜50万円
外壁塗装60万〜250万円

水回り4点交換で250万円前後かかる

キッチン・浴室・トイレ・洗面の4点を標準グレードで入れ替えると、250万円前後が目安になります。
設備の入れ替えだけでなく、周囲の床や壁の内装工事もセットで行うのが通常のため、設備本体の価格だけで見積もると想定を下回ります。
位置を動かさず同じ場所で交換すれば配管工事が最小限に収まり、費用も安定しやすいでしょう。

内装張り替えは1畳1万円から5万円

床材や壁紙の張り替えは、1畳あたり1万〜5万円が一般的です。
既存材の上から重ねる「重ね張り」は工期が短く費用も安い反面、仕上がりに凹凸が出ることがあります。
既存材を撤去する「完全張替え」は工期と費用が増えますが、仕上がりと耐久性で勝ります。
予算と仕上がりのどちらを優先するかで、部屋ごとに使い分ける方法も取れます。

断熱と窓の改修に250万円を見込む

壁や天井への断熱材充填と高性能窓への交換をあわせて行う場合、250万〜350万円を見込んでおくと計画が崩れにくくなります。
内訳は断熱改修が150万〜200万円、窓の交換が100万〜150万円という水準です。
冬の寒さや結露が悩みの中心にあるなら、内装のグレードより先にここへ配分したほうが体感の変化は大きくなります。
光熱費の削減にもつながるため、長期で回収を考える性質の投資と言えます。

屋根と外壁は足場込みで同時に行う

屋根と外壁の工事は、同じタイミングにまとめると足場代を1回分に節約できます。
足場の設置費用は約15万〜25万円かかるため、数年ずらして別々に発注すると、その分だけ二重に負担が生じます。
外壁塗装は60万〜250万円、屋根の葺き替えは60万〜260万円と幅がありますが、いずれも塗料や工法のグレードで金額が決まる部分が大きいです。

予算別にできる工事

同じ予算でも配分次第で仕上がりは変わります。
600万円から2,000万円超まで、金額帯ごとの実現範囲を整理しました。

予算実現できる工事の範囲
600万円水回り4点交換とLDKの内装刷新
1,000万円内装・設備の全面改修と間取り変更
1,500万円全面改修に断熱・耐震・外壁塗装を追加
2,000万円以上骨組みを残したスケルトン改修

600万円で水回りとLDKを一新できる

600万円あれば、水回り設備の全交換とLDKの内装刷新までまかなえます。
システムキッチン70万〜150万円、ユニットバス80万〜120万円、トイレと洗面の交換50万〜80万円に、LDKの床・壁クロス張り替え50万〜90万円、間仕切り壁の撤去と補修50万〜70万円を組み合わせる形です。
家全体を一新することは難しいものの、設備が古くなった住宅では生活の快適さが大きく変わります。

1,000万円で内装と設備を全面刷新できる

1,000万円は、内装と設備をほぼ全面的に入れ替えられる価格帯です。
全室の床・壁・天井の仕上げ材交換に300万〜400万円、水回り設備の全交換に300万〜400万円、間取り変更に200万〜300万円、配線や配管の更新に100万〜150万円という配分になります。
築30年程度の住宅でも新築に近い住み心地に近づきますが、外壁や屋根の大規模修繕まで含めるのは難しく、そこが必要なら予算の上積みが要ります。

1,500万円で断熱と耐震まで手が届く

1,500万円になると、見た目の刷新に加えて住宅性能の向上まで組み込めます。
内装・設備の全面改修に1,000万円程度を充て、残りで断熱改修150万〜200万円、高性能窓への交換100万〜150万円、耐震補強100万〜150万円、外壁塗装80万〜120万円をまかなう構成です。
冬の底冷えと地震への不安を同時に解消できるため、長く住み続ける前提なら費用対効果は高いと考えられます。

2,000万円超でスケルトン改修を選べる

2,000万円を超えると、骨組みだけを残して造り替えるスケルトンリノベーションが視野に入ります。
解体と廃材処分に200万〜300万円、構造補強と高性能断熱材の施工に400万〜600万円、内装・設備の全面改修に1,000万〜1,200万円、屋根や外壁の全面改修に300万〜500万円という規模感です。
間取りの自由度は構造上可能な範囲で大きく広がり、建物の寿命そのものを延ばす効果も見込めます。
立地や土地に満足しているなら、建て替えより合理的な選択になるケースもあります。

費用が跳ね上がる理由

同じ延床面積でも、建物の状態によって最終金額は変わります。
上振れを招く要因を先に押さえておくと、見積書の読み方が変わります。

上振れ要因追加費用の目安
築30年超の土台・配管補修数十万〜数百万円
旧耐震基準の耐震補強100万〜200万円
鉄骨造による構造上の制約鉄骨造は木造より35万〜120万円高い

築30年超は土台や配管の補修が増える

築30年を超える住宅では、見えない部分の補修費が上乗せされます。
築20年程度までなら構造に大きな問題がないことが多く、表層的な改修で対応できます。
ところが築30年を境に、土台や柱の腐朽、シロアリ被害、配管の老朽化が見つかる頻度が上がっていきます。
築40年以上になると、土台や柱の補修が前提になるケースも出てきます。

1981年以前の家は耐震補強が要る

1981年5月以前に建築確認を受けた家は、旧耐震基準のため補強工事が前提になります。
追加費用は100万〜200万円程度(木耐協の調査では旧耐震基準の平均施工金額183万円、新耐震基準は平均146万円)です。1981年6月〜2000年5月に建てられた木造住宅(いわゆる81-00住宅)は、『震度6強〜7程度の地震で倒壊しない』ことを目標とした新耐震基準に適合しているものの、
柱・梁・筋交いの接合方法や耐力壁のバランス配置が明確化されたのは2000年6月の建築基準法改正以降であるため、状態によっては補強が推奨されます。
実際、熊本地震における益城町中心部の調査では、1981年以前の木造住宅の倒壊・崩壊率が28.2%、1981〜2000年が8.7%、2000年以降が2.2%と差が出ています。
判断は耐震診断を受けたうえで専門業者に委ねる形になります。

参考:国土交通省/日本建築防災協会「新耐震基準の木造住宅の耐震性能検証法」

参考:東京都耐震ポータルサイト「新耐震基準の木造住宅への耐震化支援」

参考:日本木造住宅耐震補強事業者協同組合(木耐協)「『81-00木造住宅』の耐震性に関する木耐協調査データ発表」

鉄骨造は木造より35万〜120万円高い

構造種別でも総額は動きます。
鉄骨造住宅のリノベーション費用は820万〜1,270万円、鉄筋コンクリート造は770万〜1,200万円が目安で、30坪の木造(785万〜1,150万円)と比べると、鉄骨造は下限で約35万円、上限で約120万円高い水準です。
鉄骨造は断熱工事費が50万〜70万円(木造30坪は37万〜40万円程度)と高く、造作・内装費も300万〜450万円と膨らみやすい傾向が見られます。
一方、鉄筋コンクリート造は耐震性や防音性に優れる反面、構造上壁を撤去できないなど間取り変更の自由度が低く、スケルトンリノベーションを行う場合は費用が高額になる可能性があります。
なお、これらは資材・人件費高騰前の目安であり、2026年時点では30坪のフルリフォームで1,200万〜2,500万円が中心価格帯とされています。
自宅の構造が分からない場合は、建築時の図面や登記事項証明書で確認できます。

解体後に腐食が見つかり追加請求される

解体して初めて内部の腐食が判明し、追加費用が発生することがあります。
壁や床を開けるまで劣化の全容は見えないため、契約時の見積書がそのまま最終金額になるとは限りません。
築40年以上の物件では特に起こりやすく、あらかじめ予備費を確保しておく前提で資金計画を組むほうが安全です。

見落としやすい工事外の出費

見積書に載らない出費が、総額を押し上げます。
資金計画の段階で工事費とは別枠として見ておく必要があります。

工事外の費目発生する場面
仮住まいの家賃・引っ越し代(往復2回分)大規模改修で住みながらの工事が難しいとき。
3〜4人家族で初期費用+家賃3カ月分に引っ越し代を加えて総額150万円前後が目安。
家財の保管料レンタルスペースへ一時預けるとき。
1畳あたり月5,000〜1万円程度。
建築確認申請の手続き費増築や大規模な改修を行うとき。
※2025年4月施行の建築基準法改正で「4号特例」が縮小され、これまで申請不要だった木造2階建て等(新2号建築物)でも、主要構造部の過半を改修する大規模リノベーションでは確認申請が必要になりました。

仮住まいの家賃と引っ越し代が要る

工事内容によっては仮住まいが必要になり、家賃と引っ越し費用が別途かかります。
往復2回分の引っ越し代に加え、家財を一時的に預けるレンタルスペース代が生じることもあります。
まず「自宅に住みながら進められる工事か」を施工会社に確認しておくと、資金計画の抜けを防げます。

大規模改修は確認申請の手続きが発生

庭に部屋を増やす増築や、主要構造部(壁・柱・床・はり・屋根・階段)のいずれか1種以上について過半を修繕・模様替えする『大規模の修繕・模様替え』では、役所への建築確認申請が必要になります。
平屋から二階建てへ階数を増やす場合も同様です。
とくに2025年4月施行の建築基準法改正で『4号特例』が縮小され、従来は申請が不要だった木造2階建てなども『新2号建築物』に区分され、大規模の修繕・模様替えの際に確認申請と構造・省エネ関連図書の提出が求められるようになりました。
プラン検討の早い段階で施工会社や役所に申請の要否を確認しておくと、着工スケジュールのずれを避けられます。

参考:国土交通省「4号特例が変わります」

建築基準法の制限で工事内容が変わる

リノベーションにも建築基準法が適用されるため、建蔽率や容積率の制限で計画が変わることがあります。
縁側や出窓、二階部分のベランダを新設すると、これらの数値が変動する場合があるからです。
希望した内容がそのまま通るとは限らない点を、プラン検討の前提に置いておくと安心です。

建て替えではなくリノベを選ぶ理由

同じ悩みに対して建て替えという選択肢もあります。
それでもリノベーションが選ばれる背景には、費用以外の理由もあります。

判断軸リノベーションの優位点
費用新築や建て替えよりトータル費用を抑えやすい
土地条件土地条件
再建築不可の物件でも住まいを再生できる
※ただし2025年4月の建築基準法改正(4号特例の縮小)により、主要構造部の過半に手を入れる大規模な修繕・模様替えには確認申請が必要となり、接道義務を満たさない再建築不可物件では大規模リノベーション自体ができない可能性があるため、事前に施工会社・行政への確認が必須です
資産の継承既存の柱や梁を残し、思い出ごと引き継げる

建て替えより総額を抑えられる

基礎や構造躯体を再利用できる分、建て替えよりトータル費用を抑えやすくなります。
解体して更地に戻す工程が不要になり、廃材処分の負担も軽くなるためです。
ただし工事規模が大きくなるほど差は縮まるので、2,000万円を超える計画では建て替えとの比較検討にも意味が出てきます。

再建築不可の土地でも住み続けられる

接道条件などで建て替えができない再建築不可物件でも、リノベーションで住まいを再生できる場合があります。
更地にすると新たな建物を建てられない土地であっても、既存建物を活かす形なら手を入れられるからです。
ただし2025年4月施行の建築基準法改正で『4号特例』が縮小され、木造2階建て等も『新2号建築物』に区分されたことで、主要構造部の過半に手を入れる大規模な修繕・模様替えには建築確認申請が必要になりました。
再建築不可物件は接道義務を満たさないため確認申請が下りず、スケルトンリノベーションのような大規模改修自体ができない可能性があります。
実施できる工事の範囲は物件ごとに異なるため、立地に強い愛着があり住み替えを望まない場合は、まず建築士やリフォーム会社に申請の要否と可能な工事範囲を確認してください。

参考:国土交通省「4号特例が変わります」

愛着ある柱や梁を残して活かせる

既存の柱や梁をあえて残す設計は、費用を抑えながら空間に個性を生む選択にもなります。
和室の柱や小屋組みを見せる仕上げにすれば、新しく造り込むより解体・造作の手間が減ります。
長く暮らした家の記憶を残しつつ、性能だけを現代の水準へ引き上げる進め方ができます。

リノベーションで妥協が必要な点

魅力の裏側には制約もあります。
着工後に「そんなはずでは」とならないよう、先に把握しておく価値があります。

制約の種類起こりうること
構造上の制約間取り変更や窓の増設ができない場合がある
費用の逆転高グレード仕様では新築より高くなることがある
事前把握の限界解体後に想定外の補修が判明する

2×4やプレハブ工法は間取り変更に制限がある

プレハブ工法や2×4(ツーバイフォー)工法の住宅では、間取り変更に制限がかかります。
壁そのものが建物を支える構造のため、取り払える壁が限られるからです。
一戸建ては比較的自由度が高いと言われますが、工法によって前提が変わります。
プランを描き始める前に、自宅の工法を確認しておく流れが安全です。

仕様を上げると新築より高くつく

大規模な工事と高グレードの設備を組み合わせると、新築を上回る金額になることがあります。
既存建物の補修費に新築同等の設備費が積み上がる構造だからです。
設備のグレードを上げ続けた結果として総額が跳ね上がった、という展開は避けたいところで、優先順位を決めた配分が効いてきます。

見えない劣化まで事前には読み切れない

契約前の段階では、壁の内側や床下の状態を完全には把握できません。
国土交通省の基準に基づく建物状況調査(インスペクション)も原則として非破壊・目視による調査で、床や壁をはがす調査までは行われないため、図面と目視の調査には限界があり、解体して初めて分かる劣化が残ります。
実際に多いのは配管の劣化・腐食、基礎のひび割れ、シロアリ被害や木材の腐朽で、判明すれば数十万〜数百万円規模の追加費用につながります。
この不確実性はリノベーションに構造的に伴うもので、工事費の5〜10%程度を予備費として組み込んでおくと動揺せずに済みます。
築年数が古い物件やスケルトンリノベーションでは、10〜20%まで厚めに確保しておくとより安全です。

参考:国土交通省「インスペクション(既存住宅の点検・調査)

費用はどこまで抑えられる?

同じ希望内容でも、進め方を変えると総額は下がります。
効果が出やすい順に整理しました。

コスト削減の手段効きやすい場面
優先順位付け直したい箇所が多く総額が膨らんでいるとき
設備グレードの見直し最新モデルを前提に見積もっているとき
構造・間取りの維持大きな不満が設備の古さにあるとき
工事のまとめ発注屋根と外壁など足場が要る工事があるとき
相見積もり1社の金額が妥当か判断できないとき

直したい場所に優先順位を付ける

工事箇所に優先順位を付けると、1回あたりの支出を抑えられます。
あれもこれもと一度に手をつけると想像以上に費用がかさむためで、雨漏りにつながる屋根や外壁、耐震・配管といった安全性に関わる部分を先に直し、設備のグレードアップなどを次回に回す振り分けが有効です。
ただし工事を複数回に分けると、そのたびに足場代や諸経費、職人の出入りにかかる費用が重複して発生するため、生涯コストではかえって割高になる場合があります。
屋根と外壁のように同じ足場を使える工事は同時に行い、時期をずらすのは足場や解体を伴わない工事に限定するのが原則です。
後回しにできない場所とタイミングを見て手を加えられる場所を分けておくと、支出を平準化しつつ無駄も避けられます。

設備を標準グレードに落とす

キッチンや浴室のグレードを標準品に落とすだけで、数十万円から100万円以上の差が生まれます。
キッチン単体でもハイグレード品と標準品では100万円以上の価格差が生じるため、水回り4点すべてを標準グレードで揃えれば、削減幅はさらに大きくなります。
最新モデルやハイスペック品ほど価格は上がりますが、標準グレードにも性能の良い商品は揃っています。
掃除のしやすさや耐久性を優先し、デザイン性やブランド性への支出を抑える判断も取れます。
将来のメンテナンス費まで含めて選ぶと、判断の精度が上がるでしょう。

既存の間取りと構造を変えずに残す

間取りや構造に手を入れない選択は、削減効果が大きい手段のひとつです。
壁の撤去や新設、配管の移設が不要になり、解体費と木工事費が同時に減ります。
不満の中心が設備の古さや内装の傷みにある場合、間取りを維持したまま設備と内装を刷新するだけで満足度が確保できるケースもあります。

 複数箇所をまとめて足場代を減らす

足場が必要な工事は、まとめて発注すると重複費用を避けられます。
屋根と外壁を別々の年に施工すると、15万〜25万円の足場代を2回負担することになるからです。
近い時期に必要になりそうな外装工事は、あらかじめ一括で見積もってもらう進め方が経済的です。

3社に相見積もりを取って比べる

複数社から見積もりを取ると、価格と品質のバランスが見えてきます。
その際に重要なのは、各社へ同じ条件・同じ希望内容で依頼することです。
条件がそろっていないと見積書の体裁や金額が異なり、比較そのものが成立しません。
また、相見積もりであることは各社に伝えておくのがマナーとされています。
金額だけでなく、工事内容やアフターサービス、担当者の対応まで含めて比較すると判断材料が揃います。
『一式』表記が多く内訳が不明瞭な見積書や、極端に安い金額には注意が必要です。
自社一貫施工や仕入れの工夫でコストを下げられる会社もありますし、比較の過程で自分では気づかなかった必要工事が見つかることもあります。

参考:住宅リフォーム推進協議会「既存住宅を買ってリフォーム!」

使える補助金と減税制度

省エネや耐震を目的とした工事では、国や自治体の支援を受けられます。
制度は予算上限に達すると受付が終了するため、時期の確認が要ります。

制度内容
先進的窓リノベ2026事業窓・ドアの高断熱化リフォームで最大100万円/戸
みらいエコ住宅2026事業窓・ドアや水回りなど幅広い改修が対象で、リフォームは上限40万〜100万円/戸
給湯省エネ2026事業高効率給湯器の設置に定額5万〜17万円

参考:住宅省エネ2026キャンペーン【公式】

窓の断熱改修に最大100万円が出る

窓とドアの高断熱化には、国の「先進的窓リノベ2026事業」で最大100万円が交付されます。
2025年度は1戸あたり200万円が上限でしたが、2026年度は100万円に減額された一方、窓のサイズ区分に『特大サイズ』が新設され、大きな掃き出し窓の補助額は手厚くなりました。
対象となるのは2025年11月28日以降に着手した工事です。国土交通省・環境省・経済産業省の3省が連携する「住宅省エネ2026キャンペーン」の一事業で、水回りを含む幅広い改修が対象の「みらいエコ住宅2026事業」、高効率給湯器が対象の「給湯省エネ2026事業」と組み合わせる形も認められています。
申請は登録事業者を通じて行う仕組みのため、依頼先が登録事業者かどうかを早い段階で確認しておくと手続きが滞りません。予算上限に達した時点で受付が終了する点にも注意が要ります。

参考:国土交通省・経済産業省・環境省「住宅省エネ2026キャンペーン【公式】」

参考:環境省「先進的窓リノベ2026事業【公式】」

参考:国土交通省「みらいエコ住宅2026事業(Me住宅2026)公式ウェブサイト」

耐震補強は自治体の助成を確認する

耐震補強については、自治体の助成制度が広く整備されています。
国が地方公共団体の支援制度を財政的に後押しする仕組みのため、実際の窓口は市区町村になります。
国土交通省の調査では、戸建住宅の耐震診断に補助が受けられる市区町村が全国1,741のうち1,469(84.4%)、耐震改修に補助が受けられる市区町村が1,445(83.0%)に上り、大半の地域で利用できる状態です。
耐震診断への補助と改修工事への補助を分けて設けている自治体が一般的で、無料で耐震診断を実施している自治体もあります。金額や要件は地域ごとに異なります。
ただし、いずれの自治体でも交付決定前に契約・着工したものは補助対象外となるため、計画段階で自治体の住宅関連窓口に問い合わせる順番が必須です。

参考:国土交通省「地方公共団体における耐震改修等に対する補助制度の整備状況(令和7年4月1日現在)」

参考:国土交通省「強い家 ~大地震に備える耐震改修」

旧耐震の耐震改修は所得税が控除される

昭和56年5月31日以前に建築された自宅を現行の耐震基準に適合させた場合、住宅耐震改修特別控除(リフォーム促進税制)により所得税額から控除を受けられます。
控除額は標準的な工事費用相当額(限度額250万円)の10%で最大25万円、その他の工事を含めると最大62.5万円です。
住宅ローンを組んでいない場合でも適用を受けられる仕組みです。
バリアフリー改修(最大60万円)や省エネ改修(最大67.5万円)についても、住宅特定改修特別税額控除という別枠が設けられています。
2026年4月1日に公表された令和8年度税制改正により、リフォーム促進税制(所得税)の適用期間は3年間延長され、令和8年1月1日以降も引き続き利用できます。
適用要件や控除額の計算方法は年度ごとに更新されるため、確定申告の前に国土交通省・国税庁の最新情報を確認する流れになります。

参考:国土交通省「住宅をリフォームした場合に使える減税制度について」

参考:国土交通省「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について」

参考:財務省「令和8年度税制改正の大綱(1/9)」

 後悔しないための進め方

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金額の妥当性は、進め方の順序で決まる部分があります。
見積もりを依頼する前に踏んでおきたい流れを整理しました。

段階やること
手順1家族で不満と要望を洗い出す
手順2建物診断で劣化状況を把握する
手順3工事費の1割を予備費として確保する
手順4見積書を項目単位で比較する

 手順1 不満と要望を家族で洗い出す

最初に、現在の住まいへの不満と実現したい暮らしを家族全員で書き出します。
寒さ、収納の不足、家事動線の悪さなど、具体的な言葉にするほど後の優先順位付けが楽になります。
この作業を飛ばして業者に相談すると、提案されたプランに流されて予算が膨らみやすくなります。

手順2 建物診断で劣化状況を確かめる

着工前の建物診断は、想定外の追加費用を減らす手段になります。
診断費用は10万〜30万円程度かかりますが、隠れた劣化や不具合を事前に把握できる分、後から数百万円の追加が発生するリスクを下げられます。
築30年を超える住宅では、診断結果がプランそのものを左右することも多いです。

手順3 予備費を工事費の1~2割用意する

工事費とは別に、予備費を確保しておきます。
一般的なリノベーションでは工事費の5〜10%程度、築年数の古い木造住宅やスケルトンリノベーションでは総予算の10〜20%(1〜2割)が目安です。
解体後に腐食やシロアリ被害が見つかった際、この枠があれば計画を止めずに対応できるからです。
追加費用は数十万円から数百万円規模になることもあり、1,000万円の工事なら100万〜200万円程度を見ておくと安心です。
予算の上限いっぱいまで工事内容を詰め込むと、想定外の一手が出たときに調整の余地がなくなります。

手順4 見積書を項目単位で比較する

複数社の見積書は、総額ではなく項目単位で並べて比べます。
同じ「内装工事一式」でも、含まれる範囲が会社ごとに違うためです。安く見える見積もりが実は必要な工事を含んでいなかった、という事態も起こり得ます。
不明な項目はその場で質問し、回答の丁寧さも判断材料に加えると、着工後の食い違いを減らせます。

まとめ

戸建リノベーションの費用は、部分改修350万円から、スケルトン改修2,500万円までの幅で動きます。
金額を決めるのは工事範囲・延床面積・築年数・建物構造の4条件で、特に昭和56年(1981年)5月31日以前に建築確認を受けた建物では、補修や耐震補強によって当初の見込みを上回りやすくなります。
予算を決めてから工事内容を選ぶのではなく、建物の状態を確かめたうえで優先順位を付ける順番が、納得できる着地につながります。

とはいえ、自宅の構造を読み解き、補助金の要件を確認し、複数社の見積書を項目単位で突き合わせる作業を、仕事や家事と並行して進めるには相応の時間がかかります。
判断に迷ったまま1社の提案で決めてしまい、後から後悔するケースも珍しくありません。

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